どうすれば日本人の賃金は上がるのか/野口悠紀雄

 

 

 かつて1993年出版の『「超」整理法』で一世を風靡した(もう、40年の前のハナシなのね…)野口先生が本職に近い領域で、長らく日本の宿痾となっている日本人の賃金の停滞の原因について語られます。

 

 色んな本で日本人の賃金について語られていて、このブログでも加谷珪一さんの『貧乏国ニッポン』などの本を紹介しましたが、この本では結構経済学の理論的なところを含めて、様々な要因を語られています。

 

 かなり複合的な要因が絡みまくって芸材の状況を作り出しているんだなぁ、ということが朧げに読み取れますが、かなり構造的な様相を呈しており、解決はナマナカなことでは図れなさそうです…

 

 何よりも日本企業の多くが、小泉政権規制緩和を受けて、非正規労働の拡充に走ってしまい、付加価値を上げる努力を放棄してしまったことが大きな要因であるようで、その「毒」がカラダ中に回ってしまっているようなところがあり、そこから抜け出すことはカンタンではなさそうです。

 

 また、103万円の壁とか、金融の引き締めとかもっとすべきことはあるだろうに、何の役にも立たないバラ撒きに終始を「異次元の少子化対策」などと見当違いのことをいっているのには、怒りを超えて呆れも超えて、薄ら寒い想いすらします。

 

 結局は、日本人の多くにインフレを超えた賃金上昇を見込めず、将来が不安だらけだから少子化が進行するのであって、そこにマジメに手を付けようとしない自民党がなぜ政権に居続けるのは、ホントウに不思議でしょうがありません…