社会派の作家とジャーナリストの方がニッポン社会の不公正な現実を語られた本です。
この本は2006年に出版された本ですが、バブル崩壊以降、総中流社会と言われたニッポン社会に徐々に格差が生まれ始め、2001~2006年の小泉内閣による様々な規制緩和で格差社会への転換が決定的となり、それ以降拡大の一途を辿るワケですが、その萌芽の時期の状況を語られています。
その「萌芽」について、「婚活」のオリジネーターとしても知られる山田昌弘先生の『希望格差社会』などの著作が相次いで出版されていたことを指摘されていて、すでに総中流社会が過去のモノとなりつつあったことを指摘されています。
お二方とも世界に冠たる格差社会である英国での在住経験があり、日本で露わになった格差との比較なども行われていますが、英国程、制度的な「格差」ではないモノの、出版以降の20年弱の年月で露わになったように、確実に生まれてくる子供たちのスタート地点における不平等がこの頃から問題となっていたようで、固定化を危惧されているワケですが、モノの見事にその危惧が、コロナ禍などを経て、ひょっとしたらお二方が考えていたよりも残酷なカタチで実現しているような気がします。
こういう社会の「不公正」の払拭のためにも、何とか教育の無償化を実現して欲しいところですが、「聞く力」をウリにしながら、国民の言うことになどまるで関心を示さないことが明らかになった首相以下、政権交代でも起こらない限り実現しないんでしょうねぇ…