教育格差/松岡亮二

 

 

 このブログでも最近「格差」に関する本を比較的頻繁に取り上げていますが、この本は教育における「格差」の実態を統計などを駆使して分析した、どちらかというと学究的な本です。

 

 これまでこのブログで紹介してきた教育の格差を取り上げた本では、最近に至ってどんどんと格差が拡大して来ているといった論調のモノが多いのですが、実際には戦後以降ずっとそういう格差は存在していて、規模も一定の割合で推移しているということで、長期にわたり厳然と「格差」が存在しているということです。

 

 証明している内容と言うのは、両親の大学卒/非大学卒や、蔵書の量等々、教育格差の原因として取り上げられるトピックなのですが、それを正確に統計に基づいた分析に基づいて執筆されているので、この辺りは”やっぱりそうだったのか!?”と言うワケです。

 

 また、興味深いのは都市近郊と地方に見られる「教育格差」で、両者には厳然とした差がみられるということで、それなりにエラくなりたいと思ったら、住む地域も結構なウェイトで影響してくるということのようです。

 

 子供たちにとっては、親とか住むところとか自分が主体的に選べないモノが、後々自分の能力に大きな影響を及ぼすというのは理不尽なような気もしますが、だからといってそれを是正する手段も限られるでしょうし、なかなか難しいところですよねぇ…