成熟スイッチ/林真理子

 

 

 明けましておめでとうございます。

 今年もこのブログをよろしくお願いします。

 

 年頭の一冊として、作家であり今や日大の理事長も務められる林真理子さんが成熟について語られた本を紹介します。

 

 林さんは以前『野心のすすめ』という本を書かれたこともあったように、世に出た当初はかなり出たがりというか、目立ちたがりというか、かなり自己顕示欲やアクの強いキャラだったということですが、そういう林さんを受け入れて可愛がってくれた瀬戸内寂聴さんや渡辺淳一といった大家たちの懐の広さが印象的だったということと、片や、ちょっとしたことで怒鳴り散らす「暴走老人」みたいな人もいるワケで、どちらかというと後者のケが多いワタクシとしては自省を含めて、読み進めた次第です。

 

 そういう懐の広い人たちになる…成熟する、ために林さんは、

  ・人間関係の心得

  ・世間を渡る作法

  ・面白がって生きる

  ・人生を俯瞰する

という4つの章に分けて語られていますが、ガツガツのし上がろうとしていて、疎まれることもあったという林さんが、畑違いの日大の理事長になられたように、多くの人に求められるようになったのは、デビュー当初の突飛なイメージとは異なり、かなりキチンと育てられ、目上の人に対する礼節を心得ていたこともあったようで、義理というか大御所みたいな人から受けた恩を決して蔑ろにすることなく、折に触れてフィードバックしたり、その恩を若い人にペイフォワードしたりということで、人間関係を充実させてきたからに他ならないようです。

 

 また、結構畑違いのことにも積極に取り組む姿勢みたいなものも、人生を豊かにするための大きな要素だということで、金持ちの道楽だとバッシングを受けつつも、それを受け流して、色んな事にトライされるバイタリティはまばゆいばかりです。

 

 ただ、その原動力というか興味の源泉は文学少女だったお母様に影響を受けた読書振りだということもあるようで、若い人に読書の効用について語られることもあるそうで、そんな折に「いっぱい本を読んだからって、立派な大人になっていい会社に入れるとはかぎらない。でも、本を読むと、大人になった時に一人でいることを恐れずに済む人間になれます。」とおっしゃっているのが、読書の意義を語られたフレーズの中でも出色のモノではないかと、ワタクシは個人的に思います。

 

 また、ちょっとした運・不運に一喜一憂する向きもあるかと思いますが、人生というのは大体プラマイがトントンになるもんだ、という諦念というか、ちょっとした不運も幸運の前触れ、とか著作のネタと捉えるバイタリティにも羨みを感じます。

 

 今のところ、どちらかというとイライラしがちで懐の狭いワタクシですが、今後、林さんがあこがれた文豪たちのように深みのある老人になれるよう、心がけていきたいな、ということで年頭の抱負みたいな意味も込めて紹介した次第です。