慶応義塾大学の名誉教授である憲法学者の方が、第二次安倍政権でなし崩しのうちにゴリ押ししてしまった集団的自衛権の行使についての閣議決定への痛烈な批判を浴びせた本です。
この本の執筆時点では、まだ閣議決定はなされていなかったのですが、その後、結局ほぼ安倍政権の意図通りにゴリ押ししてしまったワケですが、この論議が巻き起こった際には憲法学界では、こんな幼稚なことを本気で言ってんの!?みたいな感じで相手にしていなかったようなのですが、どうも本気らしいということで一部はムキになって抵抗し始めたということのようで、憲法の理論的には相当荒唐無稽なことを言っていたようです。
それをケムに巻くかのように15の事例を挙げて当時の安倍首相自らテレビで説明していましたが、それぞれあまり集団的自衛権が必要なケースではなかったようで、著者の小林さんによると、余程のバカか悪意に基づいているんじゃないかということのようですが、きっと憲法の細かい規定には無知な安倍元首相はともかく、その意図に基づいて動いた取り巻きには相当な悪知恵の働く人がいたようです。
とにかく、これだけの重要な憲法判断を閣議決定だけで押し通してしまうことは、権力の抑制をするという憲法制定の意義を根底から損なうモノで、小林さん自身も改憲の必要性は積極的に認めるモノの、それ自体をなし崩し的に憲法解釈で行うことには断固反対であり、正々堂々正面から憲法改正論議をすべきだということです。
元々、こういう憲法解釈の捻じ曲げというのは、自衛隊の前身である警察予備隊の発足時に憲法の改正を経ずに解釈だけで乗り切ってしまったことに端を発していると思われ、あれだけの転換を改正を経ずにやってしまったことで、あれ!?こんなことまで解釈でできてしまうんだ…ということを権力層に勘違いさせてしまったことにあるんじゃないかと思われ、早晩国民の間でもそういうなし崩し的な姿勢を糾すべきなんだろうということのようですが、国民もそういうことを改めて糾弾すべきなんじゃないかということのようです。
それにしても、色々と自民党政権の欺瞞が露わになってきていますが、そういう欺瞞を押し通させるリスクについて投票行動で糾すようにしなければならないようです。