世界の憲法・日本の憲法/新井誠、上田健介、大河内美紀、山田哲史編

 

 

 コロナ禍における非常事態宣言の要請やロシアによるウクライナ侵攻、中国による台湾への圧迫などを受けて昨今、かつてなく憲法改正への関心が高まっているように思えますが、近隣の図書館の新刊にこんな本があったので手に取ってみました。

 

 ワタクシ自身、大学は法学部で当然憲法は必須科目でしたし、外交官試験の科目に憲法があったので、それなりにツッコんで憲法の内容は把握しているつもりですが、日本以外の国の憲法についてはほとんど知らなかったので、面白そうだと思って手に取ったのですが、結論から言うとまぁ、ツマンないことツマンないこと…いわゆるパン教の憲法とか、法学部の比較憲法論みたいな科目で買わされる教科書を思い出させる感じです…(笑)

 

 特に統治制度や選挙制度について各国の制度を横並びでツラツラ並べているだけで、そこに何らかの解釈というか、お国柄を踏まえた比較論か何かを入れないと全くアタマに入らないと思うのですが、読み手のアタマに入るかどうかはあまり興味がなさそうです。

 

 そうかと思えば、人権のところでの家族制度やジェンダー論など、昨今議論の多いトピックについては、結構そういうお国柄などの背景を踏まえた比較論を交えた、単に読み物としても読みごたえのあるモノとなっており、こういうレベル感を意識して欲しかったなあ、と編者陣にグチりたくなります。

 

 こんな風に憲法にあるべき論点を網羅しようとするじゃなくて、各国の差異が際立ついくつかのトピックにフォーカスした方が読み手の興味もソソるでしょうし、啓蒙という意味でも有意義だったんじゃないかと思うのですが…こんな教科書で講義を受ける学生が気の毒に思えました…(笑)