上手にほめる技術/齋藤孝

 

 

 これまでも『上機嫌の作法』『不機嫌は罪である』などの著書で上機嫌でいることの効用を啓蒙されてきた齋藤先生ですが、この本は周囲を巻き込んで上機嫌であるための「手段」とも言える「ほめる」ことのススメです。

 

 かつては厳しく育てることの効用が優先されがちな日本社会でしたが、最近は「厳しく」することがヘタをすればパワハラとも受け取られかねないということもあり、如何にして「ほめて育てる」か!?ということに腐心する傾向が強くなってきているようです。

 

 厳しくするのは、あまり相手のことを斟酌しなくてもできるワケですが、ホメようと思えば、相手の長所をしっかりと見極めないとできないことですし、そうしようとするためには一定、相手への経緯が不可欠だということで、まずは相手を認めることからスタートするということで、ほめられてイヤな人は少ないでしょうから、相手との良好な関係が生まれやすくなりますし、自分自身も気分もよくなるようで、ひいては周囲を巻き込んで「上機嫌」になれるということです。

 

 この本の後半では、四字熟語や慣用句、やまとことばや文豪のホメコトバを参考に具体的に効果的な「ほめる技術」を紹介されていて、ホメるための観点や効果的なホメコトバが数多く紹介されていて、非常に参考になります。

 

 ヘタに人を貶めてトラブルを抱えるよりも、ホメて「上機嫌」でいる方が、人生たのしくなりそうな気にさせてくれる本です。