敵対的買収とアクティビスト/太田洋

 

 

 M&Aなど企業関連の案件を専門とする弁護士の方が敵対的買収と、それを手掛けるアクティビストについて紹介された本です。

 

 日本だとM&Aについてネガティブなイメージが抱かれがちで、アメリカやEU諸国に比べると件数も少ないようですが、昨今では企業の社会的責任やSDGsに合致した経営の要求するなど社会的な側面も垣間見られるなど、それなりに意義があるものであることを指摘されており、日本においても一定の活性化が求められるところです。

 

 基本的にはできる限りプレーンに敵対的買収とアクティビストの在り様について紹介される趣旨で執筆されたモノだということで、そもそもの定義や歴史的な沿革、各国における現況などを紹介されています。

 

 特に各国の法制面についても紹介されいるのですが、それによるとかなり日本の敵対的買収についての規制や実はユルいところがあるようなのにも関わらず、敵対的買収がなかなか盛んにならないのはちょっとフシギな気もしますが、日本経済の閉鎖的な性質の反映なのかもしれません。

 

 米国においてもかつての過剰な株主重視の施策の修正という動きがあって、ステークホルダー重視という新たな側面が顕著になってきているようで、こういう是正的な側面が注目されているようです。

 

 日本でも、一向に生産性を上げることもなく、給料を上げることもなく安売りしか拡販の方策がない日本企業の姿勢を糾すような敵対的買収の動きが出てくれば、日本経済の再生につながるんじゃないかと思うのですが…