派遣添乗員ヘトヘト日記/梅村達

 

 

 先日『旅行業界グラグラ日誌』を紹介しましたが、そちらはこの本のボツ原稿を集めた本だということだったので、早速コチラを手に取ってみました。

 

 確かに、『旅行業界グラグラ日誌』が「ヘトヘト」度が足りないと言うことでボツになっているだけあって、コチラの方がより壮絶なエピソードが目白押しです。

 

 旅行業界というとなかなかに魑魅魍魎な世界ですし、添乗員はお客様に直接接するワケですし、かつ派遣の添乗員ともなると業界のヒエラルキーのかなり下の方に位置することもあってかなり悲惨な状況が繰り広げられます。

 

 お客さんもクレーマーみたいな人と、長ければ1週間程度行動を共にすることもあるワケですし、そんなに悪い人ではないとしても高齢のお客さんの粗相の後始末を強いられることもあったり、添乗員のせいではない渋滞などの事象であっても、とりあえず当面のイライラのハケ口として怒鳴られることもしばしばあるということで、なかなかにストレスの多い職業ではあります。

 

 個人的には通訳案内士としてお仕事をいただくこともあるので、お客さんがどうのこうのよりも、仕事を発注する側の旅行会社側の行状が気になったのですが、かなり見切り発車で、いい加減な手配をした上に、怒鳴られるのは現場の添乗員で、さらにはトラブルの責任まで押し付けられた経験を紹介されていることには、ワタクシも手配不備の尻拭いを時折経験するだけに身に詰まされる想いがします。

 

 しかも、そういうハードな添乗員にも関わらず、大体一日あたり1万円程度のフィーだということで、割に合わんなぁ…と思います。

 

 それでも、添乗員になる方が引きも切らぬのは、旅行を仕事にするということのイメージが余程いいんでしょうねぇ…