弱い自分を好きになる本/香山リカ

弱い自分を好きになる本 (朝日文庫)

弱い自分を好きになる本 (朝日文庫)

 精神科医の香山さんの本です。

 最近、前向きというか、アグレッシブというか、そういう姿勢がもてはやされる
中で、そういう風になれない自分に苛立ちと言うか不満を感じて自分を追い詰めて
しまい、精神科医に係る人が少なくないようです。

 そういう人は得てしてマジメな人が多く、周囲の人の信頼も高いにも関わらず、
自分で自分にダメ出しをしてしまうことが多いようで、そこから負のスパイラルに
陥って、精神的に病んでしまうところまで行ってしまうことが多いようです。

 でも、臨床的には、「そんなことないですよ。」というのはタブーらしくて、
何とか自分が認められている、ということを自分で納得してもらえるように、傍か
ら見れば回りくどいアプローチが必要なんだそうですが、患者さん自身が、自分を
必要としている、もしくは評価している人がいる、ということを感じるようにする
ことが重要なようです。

 でも、ふとしたきっかけで、ちょっとした自信を自分の中に持つことで、元々
周囲の信頼は高いことから、劇的に情況が好転することも多いようで、日本人の
謙虚さもいいですが、ちょっとした自信のスパイスも重要なんだな、と思わされた
次第でした。