勝ち続ける理由/原晋

 

勝ち続ける理由(祥伝社新書)

勝ち続ける理由(祥伝社新書)

 

 

 2017年の箱根駅伝で、2016-17シーズンの大学駅伝3冠と箱根の3連覇を達成した青学大・原監督が2連覇後に書かれた本です。

 初優勝後、ハデにメディアに登場し、歯に衣着せぬコメントも目立ったため、かなりのバッシングを浴びたことも告白されていますが、それも“大義”のためにしていることだから全く気にしていないとおっしゃいます。

 その“大義”と言うのが、マラソンひいては陸上競技をサッカーや野球と同等のメジャーな競技にしたいということだそうです。

 そのためには旧来の陸上競技、特に長距離界における“修行僧”とも言われるストイックな姿勢ではなく、もっと楽しそうで、子供たちがやってみたいと思わせるようなモノにしたいということで、楽しさを前面に押し出したアプローチにしているということです。

 楽しそうに見えるからと言って、ナアナアなワケではなく、締めるべきところは相当キビシクされていることは、初優勝後に出版された一連の著書でも触れられている通りです。


 さらなる“大義”としてはマラソンの振興ということで、リオ五輪では400mリレーで銀メダルを取ったのに対し、マラソンの惨敗ということもあり、ここを東京五輪でなんとかしなければという想いがあるようです。

 チャラいフリしてアツい…カッコいいですよね!?

 

ラグビー観戦メソッド/上野裕一

 

ラグビー観戦メソッド 3つの遊びでスッキリわかる

ラグビー観戦メソッド 3つの遊びでスッキリわかる

 

 

 これまでラグビー本と言うと、かなりディープなモノがほとんどで、しかも日本代表のだらしなさを嘆く本が大半で、ラグビーってどんなモノ?ということを知るには教則本位しか見当たらなかったのですが、2015年イングランドW杯での日本代表の快進撃を受けて、こんな本が出版されるまでになりました!

 ボールを前に投げちゃダメですよとか、ボールを落としたらダメですよといった基礎の基礎からのルールの解説から始まって、ポジションや大会の構成などの基本的なトピックを網羅されています。

 ラグビー愛好者たちって、多くの人にラグビーを見て欲しいと思いつつも、あるべきラグビー愛好者としての姿勢を求める側面もあって、実はそれがライトな層からするとウザかったりしたんじゃないかな…と思うのですが、これだけの注目を浴びた後では、お構いなしに多くの人が入ってきてもらえてよかったのかもしれません。

 ラグビーってナマで見たら絶対ハマるんで、この本片手に是非一度!

 

面白くて眠れなくなる社会学/橋爪大三郎

 

面白くて眠れなくなる社会学

面白くて眠れなくなる社会学

 

 

 古市さんの『古市くん、社会学を学び直しなさい!! 』に刺激を受けての社会学探訪シリーズということで、この本の中で古市さんが激賞していて、かつ初心者向けっぽかったので手に取ってみました。

 で、この本は社会学がどんな学問で…というモノではなくて、言語や戦争といった「社会的」なモノだけではなく、性や家族と言ったワタクシたちの生活そのものに至るまでの事象を「社会学」的に見るとこういう感じなんですよ、という本です。

 確かに世の中の動きみたいなモノを抽象的に捉えることに一定の価値があるのはわかるのですが、ついつい「それで?」とツッコんでしまいたくなるワタクシがいたりします。

 社会科学っていうのは何らかの処方箋を提供するためにあるもんだと思っているのですが、どうも社会学がそういう要求に応えるものだとは思えないので戸惑ってます。

 そもそもそういう社会科学の捉え方が間違っているのでしょうか?

 なんかオモシロそうな気はするのですが、ここまでにところ肩透かし感を抱いているというのが正直なところです。

 

制服少女たちの選択 After 10 Years/宮台真司

 

制服少女たちの選択―After 10 Years (朝日文庫)

制服少女たちの選択―After 10 Years (朝日文庫)

 

 

 先日、古市さんが12人の社会学者と対談した『古市くん、社会学を学び直しなさい!! 』を読んで、社会学って面白そうだなあと思ったのと、「知の怪人」佐藤優さんが、フェミニスト北原みのりさんと対談した『性と国家 』で宮台さんのこの本のことをディスってたのを思い出して手に取ってみました。

 この本が出版された1990年年代前半に、女子高校生が自分が着用した制服やブルマ、下着などを売る「ブルセラ」や、お小遣い稼ぎのために売春する「援助交際」が社会問題となりましたが、そのことを実際に「ブルセラ」や「援助交際」を経験した女子高校生たちへのインタビューをベースの構成した本です。

 この当時、宮台さんはフィールドワーク多く活用して、「行動する社会学者」として評価が高かったということですが、確かにこういう経験をした女子高校生たちにアプローチされる行動力は評価されるべきでしょうし、そういう手段で社会問題にアプローチするという社会学のダイナミズムを感じさせるモノなんですが、そういう現象面としての「援助交際」を学問として「抽象化」される時点で、現象自体が自分たちの生活に根差している身近に起こりうることであるが故に、不必要に小難しいコトバでこねくり回してケムに巻いているんじゃないか…的な不信感が芽生えます。

 で、佐藤優さんがなぜこの本に不快感を抱いたのかということを考えると、『性と国家』でおっしゃられていた、日本は男性があからさまに性的欲望を満たすことにアマいという環境を踏まえずに、女子高校生たちに取って、こういう状況下に置かれれば、こうするのって不思議じゃないよね、みたいな感じで受け止められても仕方がない表現になってて、「ブルセラ」や「援助交際」を助長していると思われても仕方がないところだったんでしょうか…

 

難しいことはわかりませんが、「がん」にならない方法を教えてください!/水上治、大橋弘祐

 

難しいことはわかりませんが、「がん」にならない方法を教えてください!

難しいことはわかりませんが、「がん」にならない方法を教えてください!

 

 

 以前、投資家の山崎元さんに投資の方法を尋ねる『難しいことはわかりませんが、お金の増やし方を教えてください!』を出版された大橋さんが、今回は1万人以上のがん患者の治療に携わった水上先生に、がんについて尋ねます。

 そもそもがんはどんな病気なのか、どう予防すればいいか、予防するための健診はなにが必要か、いざかかってしまった時にどう治療するかということを噛んで含めるように語られます。

 そもそもがんというのは、感染症と違って自分のカラダの突然変異なので、かなり見つけにくいということがあるのと、食事・運動・禁煙と言った生活習慣に気を配るだけで2/3以上は防げるということです。(でも、肉を週に500gまでにするとか、結構高いハードルだったりしますが…)

 さらに、がんは今や早期発見できれば“治る”病気だということで、毎年受けるべき健診を紹介されます。

 日本人はわずか2,3割しか受信していないということで、欧米と比べると著しく低いということで、受診の重要性を強調されます。

 また、治療についても、医師はすぐに手術や抗がん剤治療を奨めるようですが、セカンドオピニオンサードオピニオンとナットクが行くまで診断してもらうことを強く奨められています。

 あんまりがんのことは考えたことなかったのですが、歳も歳だし、ボチボチ、マジメに考えないといけないですよね…

 

スラムダンク勝利学/辻秀一

 

スラムダンク勝利学

スラムダンク勝利学

 

 

 かかりつけのカイロプラクティックのセンセイに奨めてもらった本です。

 すでにスラムダンク自体が“歴史”になりつつあるのに軽いショックを受けていたりするのですが、この本はスポーツ医学とスポーツ心理学を専門とする辻先生がスラムダンクを読んで、あまりにもスポーツ選手のメンタルに関する教訓が見え隠れするのに驚かれて、作者の井上さんに問い質しに行ったところ、意図的にそうされていることを知ってカンドーし、その時に井上さんから、問い質されたことを本にしては?という提案を受けてこの本を書かれたということです。

 スラムダンクは一度通して読んだだけなので、大分記憶の彼方に行ってしまったのですが、その頃はあまり解らなかったのですが、安藤先生を始めとして、含蓄のある言葉がちりばめられていたんだなぁ…と改めて感心した次第でした。

 もう一度スラムダンクを読み返したくなりました。

 

人生を変える英語力/山元賢治、小西麻亜耶

 

人生を変える英語力

人生を変える英語力

 

 

 IBMやオラクルを経て、アップルジャパンのトップを務められた方と、アメリカやインドネシアで幼少期を過ごして、ビジネスパーソンの英語習得を支援されている方がコラボして立ち上げた英語習得支援のプログラムのプロモーション的な本です。

 ジョブスに直接スカウトされたという山元さんですが、最初に勤務したIBMでは英語に苦労されたとおっしゃっていますが、その“苦労”のレベルがスゴイです。

 どうしても非ネイティブである自分が加わると会話のテンポが乱れるということで、語句間のつながりを強く意識した発音を重視されています。

 ただ、強い目的をもって、英語で何をしたいのか?ということを考えた上で、自分の“専門”特化した内容を集中的に強めようというのはナットクです。
 
 しかも「日常会話」に苦労した話も個人的には“ナットク”なんですが、この辺の多くの日本人の“誤解”が英語の習得を妨げていることを暗に指摘されます。

 確かに山元さんが提唱されるような英語を身に付けたら、相当バリバリ、ネイティブとビジネスができるんでしょうけど、ハードルは異様に高いです…覚悟をもって取組んでください。