韓国の下流社会/シンシアリー、室谷克実

 

韓国の下流社会 貧困で絶望する若者たち

韓国の下流社会 貧困で絶望する若者たち

 

 

 韓国人の反日の状況を紹介する『○韓論』のシンシアリーさんが、数多くの嫌韓本で知られる室谷さんとの共著のカタチで、韓国の深刻な経済状況を紹介されます。

 シンシアリーさん目当てで手に取ったのですが、最初の1/3弱だけで、残りは室谷氏の嫌韓のフィルター越しなので、多少、いやかなりマユツバなのかと思いきや、シンシアリーさんのパートを読んでも、韓国の経済状況は想像以上に深刻なようです。

 大学を卒業しても就職ができないという話は、なんとなく伝え聞いたことがあったのですが、30歳位まで就職できないというのが結構フツーだということで、超一流大学以外だと就職できたとしても、最低生活保障程度の年収しか得られないこともあるということで、相当な絶望感が広がっているようです。

 個人的には先進国と並ぶほどの経済的地位を確保しつつあると思っていたのでかなり意外です。

 大統領の弾劾などもあって、それどころではなかったのかも知れませんが、もうちょっと何とかしないと暴動モノだと思うのですが…

 

一気に同時読み!世界史までわかる日本史/島崎晋

 

一気に同時読み! 世界史までわかる日本史 (SB新書)

一気に同時読み! 世界史までわかる日本史 (SB新書)

 

 

 先日紹介した池上彰さんの『(042)世界史で読み解く現代ニュース (ポプラ新書)』の中で触れられていて印象的だったのが、自国史と世界史を別個の科目として教えているのは、実は少数派らしくて驚いたとおっしゃっておられたことで、この本でもそのことが触れられていて、じゃあ、日本史と世界史をパラレルに紹介できる本を創ろうという趣旨でできたのがこの本です。

 その企画自体は非常に興味深くて、日本史が世界の歴史の流れの中でどんな影響を受けているのかがわかる!と思って手に取ったのですが、ただ単に同時期を輪切りにしているだけで、あんまり相互のリンクが取り上げられていませんでしたし、幕末までで終わってしまっていて、興醒め極まりない本でした…出口さんの『世界史としての日本史 (小学館新書)』を読んでなかったら、ここまで事前のハードルが上がることもなかったのかもしれませんが…

 

食える学歴/中野雅至

 

食える学歴 (扶桑社新書)

食える学歴 (扶桑社新書)

 

 

 地方公務員から労働省勤務を経て、現在は兵庫県立大学で教鞭をとられるという異色のキャリアをお持ちの方による学歴論です。

 この本は、今後こうしたら「食える」というモノとはちょっと違って、「学歴」の変遷を追ったモノと言えるかも知れません。

 未だに一流大学を出れば「食える」と思われている方は多いと思いますが、東大を頂点としたピラミッドは確実にその姿を変えており、そういうピラミッドでより高みを目指すという戦略が、必ずしも確実性の高いモノではなくなっているということです。

 そんな中“サバイバル”できるための能力を身に付けることをススメられているのですが、それが必ずしも“高学歴”を否定するものではなく、サバイバルの手段としての“学歴”の活用という戦略もあるということです。

 そういう意味で、単純な成功モデルに頼るのではなく、自分なりの戦略をもってキャリアデザインをすることの重要性がより高まっているということで、より「考える力」の重要性が高まってムズカシイ世の中になっているようです。

 

「英語が話せない、海外居住経験なしのエンジニア」だった私が、定年後に同時通訳者になれた理由/田代真一郎

 

 

 長いタイトルですねぇ…何と60歳で定年退職されてから同時通訳者になられたというオドロキのキャリアなんですが、タイトル通りある時点まではそこまで英語に深く関わっていたワケでは無いようです。

 じゃあ、それでも同時通訳者になれたのは何故かというと、仕事での専門性を最大限活用されたからだということです。

 ワタクシも仕事で通訳の方と関わったことがあって実感があるのですが、専門性の高い分野の通訳で、その分野の素養がない人が通訳をすると却ってわかりにくくなることもあって、専門性が高い分野程、その分野に精通した通訳者が強く求めらていて、田代さんはそのアドバンテージを最大に活かして通訳者になられたということです。

 だから英語ができることも重要なのですが、どちらかと言うと英語よりも、仕事の専門性を身に付けることが難しいが故に、そういうモノが備わった上で、英語を身に付けると引く手あまたの人材となることができるようです。

 これはかなり専門性の高い人のリタイア後のキャリアに取って勇気が出る本なんじゃないかと思いますよ。

 

 

韓国人による北韓論/シンシアリー

 

韓国人による北韓論 (扶桑社新書)

韓国人による北韓論 (扶桑社新書)

 

 

 韓国人による「反日」論の7冊目なんですが、今回はちょっと趣が違って、タイトルから想像できるのですが、日本人に韓国人から見た北朝鮮の紹介と、朴槿恵前大統領の弾劾に関する事情の紹介で構成されています。

 北朝鮮のそもそもの国の成立から今日に至るまでの経緯を紹介されるのですが、北朝鮮ソ連・中国の影響を受けて社会主義国家となったはずなのですが、早いうちに単なる独裁国家となってしまったことを紹介されます。

 この本の最後で【緊急追記】というカタチで金正男暗殺を紹介されているのですが、金正恩が、今や何の影響力もないと思われた兄の殺害にこだわったのかということを、独裁国家で重視される「血統」の面から紹介されていて、なんとなく腑に落ちた気がしました。

 昨今取り沙汰されているアメリカによる北朝鮮への軍事行動で、それに対する韓国の反応がニブイといった論調が日本のメディアにはあるのですが、ある意味やむを得ない状況があることもこの本で理解できます。

 それにしても、韓国がいろんな意味で、国家存亡の岐路にあるように思えます。

 

キレイゴト抜きの就活論/石渡嶺司

 

キレイゴトぬきの就活論 (新潮新書)

キレイゴトぬきの就活論 (新潮新書)

 

 

 就活関連を多く手掛けるフリーライターの方の著書です。

 2017年1月出版されたのですが、割とプレーンに就活の“現状”を紹介しようという趣旨で書かれたモノで、学生側、企業側のスタンスがビビットに描かれます。

 多くの企業が公式には、学歴にはこだわらない姿勢を表明していますが、実はセミナーのエントリーにも大学名が影響しているのではないか、という状況がメディアでも紹介されていますが、ホントは企業側も大学名にこだわらず有能な学生を採用したいと思っていても、なかなか実際の能力を評価しようとする手間を考えると難しいところがあって、シグナルとしてわかりやすい大学名に頼ってしまう現状があるようです。

 学生側としても、会社の名前だけにこだわり過ぎる傾向が強く、どうかんがえても難しい大企業にエントリーして玉砕するということを繰り返していることが、無用に挫折感を積み重ねてしまっているという側面もあるようです。

 あとは、学生側の社会人慣れということにも言及されていて、ビビらずにちゃんと対応しようとすれば、チャンスが広がるということでバイトなんかで鍛えてもらいたいところです。

 最後に、そんなに名前は通っていないかもしれないけど、優良な企業が紹介されていますので、そのためだけでもこの本を手に入れる価値があるかも知れませんよ。

 

SNS時代の文章術/野地秩嘉

 

SNS時代の文章術 (講談社+α新書)

SNS時代の文章術 (講談社+α新書)

 

 

 昨日に引き続き野地さんの本です。

 昨日の『打ち合わせの天才 (光文社新書)』もそうだったのですが、この方、本の内容は申し分ないのですが、タイトルと内容がビミョーにフィットしてないなぁ、と…

 というのもタイトルからするとSNSに文章を書くための手法を紹介されているのかな、と思いきや、SNSの普及で文章力が低下しているから、ちゃんとした文章を書けるようにしようという趣旨みたいです。

 ということで、主にビジネスで使用する文書の書き方について取り上げられているのですが、「オーガニック」な文章を書くことを強くススメられています。

 「オーガニック」というのは、SNSに書くような、煽りを含んだものじゃなくて、プレーンに誰でも読みやすい文章を指すようです。

 そのためにミョーに難しい漢字は使わないとか、読んでリズムがある文章だとか、そういうモノを志向するようです。

 とはいいながらやはり読み手があってのことなので、読み手が決まっている時には、読み手の人となりを意識した上で、その人の専門性などにフィットした内容にすることが必要なようです。

 どっちやねん!?とツッコミたくなるところも無きにしもあらずなのですが、全体を通して割とナットク感のある本です。