Twitter社会論/津田大介

Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)

Twitter社会論 ~新たなリアルタイム・ウェブの潮流 (新書y)

 Twitterの創成期から、その活用法について試行錯誤され、可能性
を高く評価する著者の作品です。

 だからといって、妙な礼賛に終始するのではなく、向き不向き、
できることできないこと…を丁寧に分類して、その上で、そのポテン
シャルや活用法、実際の活用事例を紹介されています。

 特に、140文字という制約と、逆にコンテンツに対する自由度が
高いところのバランスというか、利点をうまく利用すれば、それこそ
社会的なムーブメントを起こしうることを、実例、特に自らの試行錯
誤を踏まえて語っておられるので、今まで読んだ、とりあえず流行だ
から紹介しちゃえ!みたいな本とは一線を画しています。

 特に印象的だったのが、企業の活用事例とかを紹介しているのです
が、その上で、その事例をそのままなぞっても、同じような成果を
得ることはできないですよ、と警告されています。
 というのも、Twitterのお手軽さとは相反する印象を受けるのですが、
その活用には、結構なリテラシーを必要とすると、考えられている
から、のようです。

 でも、最後の勝間さんとの対談で、Twitterの新たな可能性という
のは、ネットの世界の人よりも、それまでネットに縁がなかったけど、
Twitterのお手軽さゆえにネット社会に参加した人が握っているのでは
ないか、という示唆にも妙な説得力がありました。

 いろいろな矛盾をはらんでいるツールですが、その可能性がなんと
なく、でも強いインパクトでわかった気がします。