- 作者: 日垣隆
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2000/09
- メディア: 単行本
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この本のあとがきで書かれているのですが、日垣さんは攻撃的論争が好きだ、という
ことを朧気に(スゴク、顕著だと傍から見てて思うのですが…)自覚されているようで、
相手の論理に「偽善系の腐臭」を感じるとスイッチが入って、三十手先まで相手の屁理
屈を読み取って論破態勢に入るんだそうです。
この本でも様々な「偽善」が攻撃の対象となるのですが、特にこの国の司法制度、裁
判制度について、「噛み付かれて」います。
日垣さんによると、日本は世界で一番殺人に寛容な国なんだといいます。
死刑を廃止していない数少ない国ということで、「厳罰」のイメージを持たれる人も
いるかもしれませんが、下手をすると殺人でも執行猶予がついたりするのは、世界でも
稀に見る「甘さ」のようです。
特に、少年の犯罪については、「性善説」に基づく「判例」により、余程のことが
なければ逆送(通常の裁判所で大人と同様に審理されること)となることもありえない
し、下手したら2人位殺しても、「更生の余地あり」と無理やりにでもみなして、厳罰
を免れることが多く、被害者の遺族の悔恨は如何ばかりかと思うと…
その他、教育制度や、自分の主張を世の中の流れに合わせて手のひらを返すように
変化される評論家などに噛み付かれています。
いつもなら、日垣さんの論理に痛快さを覚えることが多いのですが、この本は扱う
テーマが凄惨なこともあって、ちょっと考えさせられました。