時間と自己/木村敏

 

時間と自己 (中公新書 (674))

時間と自己 (中公新書 (674))

 

 

 最近、時折こういう古い本を手に取っています。

 確かこの本は、佐藤優さんがどこかの本で紹介されていたものだったはずです。

 精神科医の方が書かれた本なのですが、1972年に出版された本だということで、最近の本のように読みやすくする工夫も希薄ですし、精神科に関する用語や、哲学者の名前や用語がバンバンでてきますし、哲学的な論理展開もあって、かなり読むのに苦戦しました…って言うか、書かれていることの2割も理解できていないんじゃないか、という気がします。

 ただ、「時間」の捉え方と言うことについて、ある意味特殊な事情にある精神的な疾患を抱えた方の事例を考えると人間の時間の捉え方の一般論的な展開がしやすくなるということで、うつ病だったり分裂症の方の時間の捉え方の特徴を紹介されています。

 興味深かったのは、うつ病に罹患されている人は、過度に他人の時間の流れに依存しているということで、自主性を取り戻すことで、そういう疾患の快癒につながるようです。

 時折こういう本で、読書力を鍛えないといけないですね。