司馬遼太郎さんが亡くなったことを受けて出版されたプレジデント誌の臨時増刊号をベースに作成されたという司馬遼太郎礼賛本で、司馬さんの奥さまや名だたる作家の方々、司馬さんと交流のあった編集者の方々、さらには『竜馬がゆく』に大きな影響を受けたというソフトバンクの孫社長まで登場します。
それぞれご自身が印象深い司馬さんの著書を紹介されるのですが、この本の中では結構なボリュームで数人の方が『坂の上の雲』について触れられます。
また歴史学者の方が語る司馬さんの歴史学的なアプローチについての話があるのですが、司馬さんは日本史のメインストリームをゆく人々よりも、どっちかというと脇役的な人を取り上げることが多いと指摘されていて意外な気がしたのですが、坂本龍馬にしても司馬さんが取り上げるまでは知る人ぞ知る存在でしたし、『坂の上の雲』の秋山兄弟などは戦史を研究する人だけが知る存在だったことだろうということを考えると、司馬さんが有名にした人ってかなり多いですよね。
そんなうちの一人であり、ワタクシが司馬作品の中で一番好きな『峠』の河合継之助も取り上げられていたのを見て、司馬作品の中ではちょっとマイナーかなと思っていたので、ちょっとウレシかったです。
編集者のおハナシの中では司馬さんの著作に向けたエピソードも紹介されているのですが、膨大な史料を駆使して作品を作り上げることで知られた司馬さんですが、あまりにも膨大な量の史料を準備されるので、ホントに全部読んでたの!?というギモンを持つ向きもあったようなのですが、実は司馬さんはフォトリーディング的な手法を体得されていたということで、オドロキました!?
司馬さんファンは、細かいところでニヤニヤ楽しめる本ですので、是非!