宮台教授の就活原論/宮台真司

 

宮台教授の就活原論 (ちくま文庫)

宮台教授の就活原論 (ちくま文庫)

  • 作者:宮台 真司
  • 発売日: 2014/09/10
  • メディア: 文庫
 

 

 社会学界が生んだ最大のスター宮台真司さんが語る”就活”です。

 

 宮台さんと”就活”ってイマイチつながらない気がするのですが、2007~2008年にかけて、教鞭を取られている首都大学東京(現東京都立大学)で、教授会として就職課を支援する就職支援委員長を務められていたということで、そのご経験を踏まえて、就活に臨む学生たちに対して、かなりキビシめのエールを送られています。

 

 ワタクシが就活をしていた30年位前から、面接マニュアルとかといったテクニックがもてはやされ始めましたが、昨今に至るまで、そういう”就活マニュアル”的なモノに依存する傾向が続いているようなのですが、それについて宮台さんは、そんな”マニュアル”を見破れないような人事担当者はいないし、仮に見破れない人事担当者がいたとしたら、そんな会社に勤めてもロクなことがないと、バッサリ切り捨てられます。

 

 また、就職で自分探しみたいなことが最近言われていますが、その風潮について、ミョーに学生に”夢”を見させた、就職支援事業者や大学の就職担当者をキビシく糾弾されています。

 

 確かに、ごくごく一握りの人は、仕事で自己実現といる境地に達することができるのは確かなのですが、あくまでもホンの一握りであって、しかも、まだまだ自己を確立したとは言えない大学生が、就職の時点で”自己実現”なんて、ちゃんちゃらおかしい、と言わんばかりに否定されています。

 

 それよりも、学生のうちに、「ひとかどの人物」に近づくように自己研鑽を図っておくことで、堂々と自身を就活の面接で真正面に評価してもらうようにすることで、ちゃんとした人物評価ができる人だったら、きっと正当に見てくれるようにすることをススメられています。

 

 宮台さんは、就活に臨む学生たちについて、上記の様な人物形成に取組んでいないのはモチロン、受ける会社について四季報すら見ていないなど、あまりに努力が欠けていることに言及しておられて、もっともっと自分を高めなければならないと叱咤激励されています。

 

 宮台さんが、ある意味説教オヤジ的なことをおっしゃるのはかなり意外な気もしましたが、読んでいてかなり真っ当としか思えないですし、戦場がグローバルとなった昨今のビジネスパーソンに取って、アタリマエの感覚なんでしょうね…