昨日に引き続き、大学関連のテーマを専門とするライター石渡さんの著作なんですが、今回はその中でも就活がテーマです。
今回も学生、企業、大学、親、それぞれの立場から見た就活の状況を紹介されています。
この本が出版されたのが2008年ということで、企業間での取り決めであった紳士協定が反故になり、3年生から実質的に就活が始まったことで、本業であるはずの学業に大きな支障を来すようになった状況を紹介されています。
冒頭で、就活を「焼肉生焼け理論」として、多人数で焼き肉をしたときに、ある程度焼いた方がおいしいのに、いつとられるかわからないので、生焼けくらいで先にとって食べてしまいがちだということを、学生の青田刈り…ひょっとしたら苗刈り!?とも言えるくらい早くから学生にツバをつけようとする企業の姿に言及されていて、その象徴ともいうべきモノが、ただでさえ形骸化している協定の制限が及ばないインターンとしての囲い込みが象徴的な姿として紹介されています。
そんな中で大学も、学業のジャマをされていることにブチブチ言いながらも、ちゃんと行き先を見つけてもらわないといけないので、何かと世話を焼いていたということで、そういうけなげな努力にも触れられています。
結局、こういう狂騒のなかでトクをしたのはリクルートなどの就職情報サービスだけ!?と揶揄されていますが、ようやく近年になって企業もそのバカバカしさにイヤになったのか、新卒一括採用放棄の動きも出てきているようで、そういう意味でも日本的な雇用慣行が崩壊しつつあるのかもしれません。