実践自分で調べる技術/宮内泰介、上田昌文

 

 

 こちらは元々、「実践」のない『自分で調べる技術―市民のための調査入門 (岩波アクティブ新書)』として環境社会学者の宮内さんが単独で出版されていたということなのですが、学生時代にNPO活動を共にされていた上田さんが執筆に加わって、「実践」編にバージンアップされて出版されたということのようです。

 

 環境関連を研究の中心的なテーマとされているということもあって、結構イチからの調査の手順を、文献の検索から取材のお礼まで含めて、これでもか!?という位懇切丁寧に、細かいプロセスを盛り込んで紹介されているので、何か調べようと思ったら、これ一冊を手元に置いておいて、適宜参照すれば余程専門的な内容でなければ十分事足りると思えるほどの充実度です。

 

 フツーの会社勤めなんかだと、割と元ネタや似たようなテーマの調査が存在していて、それに沿って調べればコト足りることが多いので、余程専門的に調査業務に関わられている人を除けば、調査のフレームワークに通底している人は少ないと思われますし、大学の論文なんかがちょっと近い気はしますが、ここまでカッチリした調査のフレームワークを指導できる教官もそれほど多くないと思われますので、ここまで体系的な調査手法の紹介は重宝されると思います。

 

 そこまで体系的に調査をしない人でも文献の調査方法や参照の明示などはかなり参考になりますし、インタビューの方法論をここまでステップステップで紹介された本はあまりないと思われます。

 

 最終的には、リファレンスに耐えうる保管・管理の方法に至るまでホントに至れり尽くせりで、なんちゃってでも調査に携わられる方には必携の本なんじゃないでしょうか!?