公務員という仕事/村木厚子

 

 

 障害者団体向けの郵便料金の割引制度の不正利用に関する事件で被疑者として逮捕され、検察が証拠を偽造して危うく無実の罪をかぶせられそうになりながらも無罪を勝ち取り、その後厚労事務次官まで登り詰められた村木さんによる公務員の仕事の紹介の本です。

 

 最近「14歳の世渡り術」というシリーズを度々紹介していて中高生をターゲットとした本にハマっていますが、こちらは若手の公務員もしくは公務員を志す、それよりも多少興味がある人をターゲットとした本です。

 

 村木さん自身は労働省に入省して、その後厚生省と合併した厚労省に勤務されていたということなのですが、外務省や島根県に出向していたりということで、ある程度他の省庁や地方自治体のこともご存知だということで、白羽の矢が立ったのかもしれません。

 

 ただ、一般的な制度面を紹介するワケではなく、村木さんが労働省厚労省の官僚として手掛けた具体的な法案形成の過程の紹介を通して、国家公務員、地方公務員がどのように関わるのかと言う具体的な一面を紹介するというアプローチをとられていて、あくまでも「一面」ではあるモノの、却ってその仕事の在り方が分かり易いんじゃないかと思えます。

 

 また、取り上げられている事例が男女雇用機会均等法や育児・介護休業法という、女性の働き方に影響を与える法案についてだということもあり、村木さんが女性官僚として経験されたことも踏まえて、特に若い女性で公務員に興味がある人がどういうモノなのかを知るには格好のテキストだと思いますし、かなりモチベーションが上がるんじゃないかとも思えます。

 

最近はコロナ禍の対応でとかく評判の良くない厚労省で、 村木さん自身も忸怩たるものがあるのかも知れませんし、過重労働で有能な若年層が公務員を避ける傾向が強いこともあり、労働環境を改善するということはモチロンなんですが、その職務の意義をもっとアピールする動きがあってもいいんじゃないかとは思うのですが…