ニュータイプの時代/山口周

 

 

 ここのところ山口周さんの著書を立て続けに紹介していますが、この本は出世作となった『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』の実践編というか、そのコンセプトをビジネスでどのように活用していくかということを詳しく紹介された本です。

 

 『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』の中で、ロジックよりも直感の方の有効性が高まっていることに触れられていましたが、その背景の一つとして社会のVUCA化を挙げられているのですが、それぞれV=Volatile(不安定)、U=Uncertain(不確実)、C=Complex(複雑)、A=Amgiguous(曖昧)の頭文字をとったモノだそうなのですが、そういう状況になると依然と比較して決まりきった問題解決というよりも、どこの問題があるんだろうということで、問題を発見する能力が重要になり、そういう場面であまりロジックは役に立たないようです。

 

 モチロン、ロジックを完全にムシして暴走するとカオスになるんで、ある程度のバランスが必要なんでしょうけど…

 

 これまでのビジネスというと、何らかの「役に立つ」ことを目的として遂行されることが多いと思うのですが、もう一段階高いところから、そのビジネス事態にどういう「意味」があるのかということをというべきなのではないかということで、自分の「想い」やそのビジネスの社会的な意義といったことをベースにしてビジネスを行うことがより多くの支持につながるんだろうなぁと思います。

 

 あと、印象的だったのが日本人の撤退下手について触れられているところなんですが、どうしても日本人は受けてきた教育故か、何かと物事に手を付けたら貫徹することがヨシとされるので、かなり経験のあるビジネスパーソンでもあまり出口戦略のことを考えていないことが多いということなのですが、実はそういう性癖がビジネスだけじゃなく政治においても致命的な失敗の原因となっているケースが多いということで、もっと「逃げ方」を学ぶことが重要だとおっしゃいます。

 

 ということで、かなり従来の「常識」からするとかなりかけ離れたところもあるので、特に年齢を重ねた人にはキビシイところが多いと思うのですが、逆に「真・美・善」という個々人の価値観には依存するものの、ある意味普遍的な部分に基づくところもあるので、逆に共感が得やすいのかも知れません。

 

 あまりに斬新で、旧来的な思考にドップリ浸かったワタクシなどはなかなか腹落ちするところまでの消化はムズカシイのは確かなんですが、なんとなくこれはイケるんじゃないか!?というニオイがプンプンしており、是非とも若手のビジネスパーソンの方にはナメるように読んで欲しいところです!(笑)