松浦弥太郎さんが2006年から2年間に渡って「COYOTE」誌に連載されていた紀行エッセイをまとめた本だということです。
”紀行エッセイ”だということですが、名所・旧跡やその地方独特のグルメといった、いわゆる旅行本的な色彩は希薄で、かなり松浦さん自身現地に馴染んだというか、旅人と居住者の中間的な立ち位置での書きっぷりが目立ちます。
また、ロンドン、パリ、サンフランシスコ、NY、台北とかなりメジャーな都市を取り上げてはいるのですが、その中でもかなり限られた、しかもそれほど観光客が興味を示しそうなエリアではないので、あくまでもその街で生活をするというような感じになっています。
朝起きて、ある程度馴染んだカフェやダイナーにいって、特別なモノではないんだけど、ほっこりと味わい深い、老夫婦が作ったような美味しい朝食を食べて、元々アメリカで書籍の買い付けをされていただけあって、古書店や書店を回って、というような訪問者なんだけど旅行者とも言い切れないようなフツーの行動を、割とどの都市でもされているので、ちょっと退屈になる人もいるかもしれません。
ただ、個人的には、かねてから海外に旅行に出かけてそういうフツーの生活をするのに憧れていて、まさにこの本で松浦さんがされている旅が、そのものだというかんじなのですが、未だ海外に行くと、せっせと名所に出かけてしまいます。
いつかこういう旅をしようというロールモデルとして、この本を時折取り出して見返してみようかと思います。