わが子を国際人にする方法/ケント・ギルバート

 

 

 ケント・ギルバートさんがまだメディアに頻出していたことの著書です。

 

 多分、ちょっと顔が知られている外国出身の方々にはこういう著書のニーズが未だにあると思うのですが、この本が出版された1997年はそういう書き手も限られていたでしょうから、かなりインパクトがあったんじゃないかと思われます。

 

 ただ、ケントさんがこの本の中でおっしゃっているように「国際人」であることと、コトバができることには、多くの日本人が思っているほどの相関性はないはずなのですが、25年以上が経った今でもそういう幻想が消えないことに、ちょっとしたオドロキがあります。

 

 どちらかというと、グローバルな人材というのはコトバよりもメンタリティに大きな要素があるのは、ちょっとでも外国とのビジネスに触れた経験がある人は分かっているはずのことですが、それでも外国語の修得が未だに取り沙汰されるというのは、それだけそういう人が少ないということの証左なのかも知れません。

 

 ケントさんがおっしゃる「国際人」の条件としては、様々な事象に自分なりの解釈を通して、自分なりの判断ができる人、という定義ができると思うのですが、日本社会では未だに決められたルールに粛々と従う人が求められる傾向強く、そういう社会的な風潮が日本のグローバル化の進展、引いては生産性の向上が阻害されているんだろうなぁ…と思われ、ケントさんが25年前に嘆かれていた状況から1mmも状況が進んでいないんだなぁ、と思うと悲しくなるとともに、呆れる想いがします。