ルポ貧困大国アメリカII/堤未果

 

 

 昨日紹介した『ルポ貧困大国アメリカ』の続編です。

 

 間を置かずに出版されているので、相当正編のインパクトが強かったということなんでしょうね…

 

 続編では教育や社会保障、医療費負担といったテーマが取り上げられています。

 

 正編を紹介した際に、アメリカで起こったことはいつか日本でも起こりかねないという懸念を述べましたが、この本で紹介されている教育関連の負担に関するトピックについては、まさに日本でも大きな問題となっていることとなっていて、家計の収入の伸びが鈍化している中で、大学の学費が高騰し、なかなか奨学金でカバーできない中、過剰な学資ローンの借り入れで困窮する学生が生み出されてしまっているということです。

 

 その上、当時の不況の中、大学を卒業しても学資ローンの返済ができるだけの収入を得られる職を得られる機会も限られ、かつ学資ローンは自己破産の対象とならないということで、多大な借金を抱えたまま、途方に暮れる人々の姿を紹介されています。

 

 また、アメリカでは国民年金という概念が無いため、老後の困窮といった問題も紹介されていて、現在はどうなっているんだろう、と心配になります。

 

 一番驚いたのが刑務所の服役者を労働力として食い物にするビジネスで、アメリカでは刑務所の運営の民間委託が進んでいて、その運営を担う主体が服役者の労務を安価で切り売りして食い物にしているということで、服役者にはロクな報酬を与えず、ピンハネをしているんだそうです。

 

 現在のアメリカはこの時期と比べると相当経済状態が改善しているはずなのですが、少しはマシな状況になっているだろうかと思うと共に、リタイア後の社会保障の破たんが取り沙汰される中、日本でも同じようなことにならないかと戦慄を覚える次第です…