フィンランド豊かさのメソッド/堀内都喜子

 

 

 ロシアのウクライナ侵攻を契機として、それまでの中立的なスタンスを放棄してNATO加盟申請を行ったことで一躍世界の注目を集めたフィンランドですが、この本はOECDが実施している学力調査(PISA)で世界1位を獲得して俄然注目を浴びたことで、フィンランド留学経験のある方がフィンランドというのはどういう国なのかを紹介した本です。

 

 この本が出版されたのが2008年ということで最早ひと昔前になってしまうのですが、その頃フィンランドっていうと、サウナ発祥の国だとか、ムーミンだとか、ビジネスに興味のある方だとノキアなどを思い浮かべるかもしれません。

 

 そんな感じで多くの日本人にとってはそれほどなじみ深い国ではないと思うのですが、他の北欧諸国同様、先進的な福祉国家として知られるだけでなく、NATO加盟が取り沙汰された際に弱冠34歳しかも美貌のマリン首相が国家元首として登場したことでも表れているように、かなり女性の社会進出が進んだ国だということでも知られるようです。

 

 またPISAで世界1位となったことでもわかるように教育にかなりチカラを入れており、初中等教育では1クラス25名以下で構成したり、高等教育は一切無料なのに加えて、生活のための一定の手当てが支給されるなど、家庭の経済状況に関わらず自らの望む教育を受けられるような施策が整備されており、その辺りはいち早く日本にも見習ってほしい所ではあります。

 

 まあ、日本の約20分の1にあたる550万人という人口だからできる部分はあるという側面は強いとは思うのですが、マジメでシャイな国民性という部分が似ているだけに、見習うべきところは多々あるはずで、物見遊山としか思えない視察を行っている国会議員も少なからずいるはずなんで、せめて爪のアカでももらってきて学んでほしいモノだと、切に思う次第でありました…(涙)