「戦後」を点検する/保阪正康+半藤一利

 

 

 名コンビが「戦後」を語ります。

 

 元々、『「昭和」を点検する (講談社現代新書)』という本があるそうなのですが、その本は戦争までで紙幅が尽きてしまい、改めてこの本が企画されたということのようです。

 

 お二方とも昭和史の研究者として名高いのですが、どうしてもその関心というのは戦前、戦中、戦直後に集中しており、サンフランシスコ講和会議以降には強い関心は抱きにくい所があるようで、半藤さんの名作『昭和史』も本編のと比べると『昭和史 戦後編』はGHQの占領下についての描写はスリリングですが、その後についてはあんまり印象に残っていなくて、この本も割とグダグダな感じですが、時折とびっきりのトリビアネタを仕込んでいるので油断できません。

 

 特に印象的だったのが、まだお二方の緊張感が行き届く終戦直前のことですが、ポツダム宣言の受諾についての議論があった中で、昭和天皇は「国体護持」についてかなりの核心があったということで、御前会議を押し切ったようなところがあったようですが、その確信を持つようになった元についてまでは言及されていません。

 

 そもそも「戦後」というのはどこまでかというところから始まっていて、今なお「戦後」なワケですが、感覚的には昭和50年くらいまでだろう、ということで占領の終了、安保、などを語られて、「戦後」終結の象徴的な出来事としての横井庄一さんや小野田寛郎さんの復員で占められます。

 

 グダグダはしていますが、割と裏話的なネタも多くて読み物としては面白かったので、まあ損することはありません。(笑)