信じる者は、ダマされる/多田文明

 

 

 安倍元首相の銃撃以降、旧統一教会の問題が大きくクローズアップされるようになりましたが、この本は旧統一協会の元信者で、現在はその経験を活かしてか、悪徳商法を主要なフィールドとするライターの方が紹介する「マインドコントロール」の手口についての本です。

 

 この本ではご自身の入信を踏まえたマインドコントロールの手法を解説されているということで、あらゆる手法が取り入れられていて、ごく軽い動機で旧統一協会のアプローチを受けた人が引き返せなくなって、次第に多額の献金をするようになるまで、かなり緻密な方策が練られていることに驚きます。

 

 オウム真理教の時と被る部分があるような気がするのですが、割とマジメで向上心が高い、自己啓発にハマりそうな人がターゲットになることが多いようで、そういう人たちを自己啓発セミナーとして誘っておいて、旧統一協会と明かさないまま一定の教化を図り、引き返さない程度にまで教化されたと判断した時点で入信を促すということで、かなり巧妙に囲い込みをしているようです。

 

 入信後は恐怖と虚栄心の刺激といったアメとムチを織り交ぜた支配を図っているということで、知らぬ間に底なし沼にハマっているという状態になるようで、よく知られる合同結婚式も相当なランクの信者への特典だということです。

 

 旧統一協会のこういう仕組みは、あるあるサギやネズミ講などとの共通性もあるようで、こういう本を読んでそういうダマシのテクニックを認識しておくことは、かなり広範な意味で被害を避けることにもつながるようです。