捨てられる銀行3 未来の金融/橋本卓典

 

 

 『捨てられる銀行』シリーズの第3弾です。

 

 第一弾の『捨てられる銀行』で2015年に就任した森長官が、それまで金融機関の健全性を回復するための検査を主要な任務としていた金融庁のミッションを地域経済の活性化に注力する施策に転換したことを中心にしたことを紹介され、第二弾の『捨てられる銀行2 非産運用』では森長官が並行して取り入れた個人の投資活性への金融機関の寄与を求めた施策について紹介されていたのですが、この本では森長官による改革の総括と、後を継いだ遠藤長官の取り組みを紹介されるとともに、それでもそういう意図を汲まず、自己の保身に汲々とする大半の金融機関の体たらくと、逆にそういう政策転換を契機として、顧客に寄り添うスタンスを定着させていく取組を紹介されています。

 

 そんな中で橋本さんが強調されているのは、大手銀行を中心として金融庁の検査対応のための数字のツジツマ合わせのための施策ではなく、いかに顧客に信頼されるような施策をとれるのかという「計測できない」価値を評価してもらえるか!?ということが「捨てられる銀行」でなくなるための重要なファクターなんじゃないかということで、地域に根差した経営方針を取り入れている地銀を中心とした取り組みを紹介されています。

 

 それにしても、大手銀行を中心とする、顧客を利益簒奪の対象とでも思っているかのような政策は、最早社会的な存在をすべきではないと思えるような詐欺的なモノであり、早々に市場方立ち去って欲しいとも思えるほどで、個人的には前々から思っている、銀行と新聞はオワコンなんじゃないか!?ということの証左にも思えますが、そんな中でキチンと地域経済や、顧客てある投資者の利益に寄り添う姿勢を重視するところもあるようで、金融庁にはそういう観点での選別を早急に進めてほしいところです。