捨てられる銀行4 消えた銀行員/橋本卓典

 

 

 『捨てられる銀行』シリーズの現時点での最終巻で、基本的には『捨てられる銀行3 未来の金融』の内容を踏襲したモノで、具体的に「捨てられない銀行」を実践されている方の事例を紹介されたモノとなっています。

 

 『捨てられる銀行』シリーズは、どの巻も200ページ代という新書としてスタンダードなボリュームなんですが、この巻だけでは400ページという異例のボリュームとなっていますが、読んでいるとふんだんなボリュームのエピソードの一つも省きたくないと思われたのではないかという気がします。

 

 基本的には『捨てられる銀行3 未来の金融』でも紹介されていた、主に地方で顧客に寄り添ったバンキングに取り組むバンカーの事例を取り上げておられるのですが、多くの事例が徒手空拳の中で、時には所属する銀行のトップ層からの反発も受けながら、次第に周囲を巻き込んで、地域全体のムーブメントとなったような事例も紹介されており、実は地方にも数多くの大きなビジネスのタネとなるような資源が眠っていて、そういうタネを活かそうと奮闘されているバンカーがいるのだなぁ、ということを思い起こさせられます。

 

 そういう取り組みが、大手銀行の、自分たちの恵まれた待遇を守らんがために顧客も食い物にしようとするような体たらくと比べるべくもないのですが、きっとそういう姿勢の差は、淘汰の波が選別してくれるんだと信じたいと、切に思わされるモノで、橋本さんには今後も継続して、そういうムーブメントを支えてもらいたいところです。