お笑い世代論/ラリー遠田

 

 

 サブカル関連で雑誌やメディアへの寄稿や多くの著書で知られるラリー遠田さんが、「お笑い第7世代」の台頭以降、取りざたされるようになったお笑いの世代論を語られた本です。

 

 「お笑い第7世代」というコトバ自体、「お笑い第7世代」を担う一組と言われる霜降り明星せいやが発したコメントに端を発していて、1~6の世代については後付けの色彩も強く、世代分けにも様々な考え方があったようですが、最近はそれなりに整理されてきているようで、この本では、それぞれの世代を代表するコメディアンとして、

  第一世代:ドリフターズコント55号萩本欽一

  第二世代:ビートたけし明石家さんま

  第三世代:とんねるずダウンタウン

  第四世代、第五世代:ナインティナインロンドンブーツ1号2号

  第六世代:キングコングオリエンタルラジオ

  第七世代:霜降り明星、EXIT

を通して、それぞれの世代の特徴を語られています。

 

 お笑いのそれぞれの世代と、「団塊の世代」「新人類世代」といった社会学的な世代論とのかかわりについても語られていて、第二世代:「団塊の世代」、第三世代:「新人類世代」といった、それぞれの時代背景とその時期の風潮が生んだお笑いの特徴のリンクについても語られています。

 

 また、お笑いの発展の特徴として、メディアとの距離感やスタンスみたいなモノの変遷が印象的で、第一世代が、如何にしてテレビでウケるようなモノを提示するか、ということに腐心していたところが、次第にテレビの特色を生かすような第二世代、そういった価値観をブッ壊そうという勢いの第三世代を経て、必ずしもテレビに対して特別な感情を持たず、YouTubeなど活動の領域を広げる第七世代に至るまでの状況を語られます。

 

 エンターテインメントというモノは世相を色濃く反映するんだろうなぁ、ということは直感的に認識はしていたモノの、特に人々の日々の生活の憂さを晴らす色彩の強いお笑いがいかに時代の空気を反映しているかということに、改めてオドロキを覚えるとともに、こういう分析の意義深さを痛感した次第でした。