瀧本哲史クーリエ・ジャポン連載集

 

 

 2019年に47歳の若さで亡くなられたのですが、未だに熱狂的な信奉者を持つといわれる瀧本哲史さんが、2013~2016年にクーリエ・ジャポンに掲載されていた国際ニュースに関する「そのニュースが君の武器となる」と題する連載をまとめた本です。

 

 クーリエ・ジャポン誌は、世界中のメディアで報道されたニュースを独自の視点でチョイスし、日本語に翻訳した上で掲載するという編集方針だということで、日本のメディアでは取り上げられないニュースが紹介されることもあって、一般的な日本人とは異なる視座でニュースを見れるということに瀧本さんも支持されていたということで、その編集方針に沿ったニュースの見方を紹介されています。

 

 特に、エンジェル投資家であった瀧本さんならではのグローバルビジネスの潮流の解説にうならされるモノが多く、掲載されてから10年が経とうとしていますが、「予言」が次々と実現していっていて、改めてその慧眼にオドロキます。

 

 ちょうどGAFAというコトバが取りざたされ始めた頃だったんじゃないかと思うのですが、この連載の中で再三その動向が取り上げられていて、それらの企業のスゴサとして、革新的なイノベーションで大きな成功を収めたとしても、それに安住することなく、むしろその成功で作り上げた「ルール」を壊して、新たなスタンダードを次々と作り続けることだとおっしゃいます。

 

 どうしても人間の性として一度作り上げたモノは守りたくなるもので、ソニーにしてもマイクロソフトにしても作り上げたモノを守ろうとした結果、その地位を失うことになったことを指摘されていて、絶え間ないイノベーションを継続していることによりGAFAの支配的な地位が維持されているという評価をされていて、そのことが今なお有効なようです。

 

 そういった洞察が様々な分野で展開されており、瀧本さんのニュースに対する分析の手法の一端を垣間見ることができます。