普通という異常/兼本浩祐

 

 

 昨今、ADHDやASDなどを精神疾患としてとらえる風潮があり、少し前なら「ちょっと落ち着きがないね」で済んでいたことが、病院にかからなくてはいけなくなるような感じで、個人的にはあまりよい風潮だとは思っていない(そうカテゴライズされることで当事者が救われるという側面はあるようですが…)のですが、この本はもっとその手前の健常発達者と言われる、見方によっては精神的な問題を抱えているとも言える傾向が主要なテーマとなっています。

 

 冒頭で紹介されているのが、小学校に入学したときに2人だけ水色のランドセルを持っている女の子がいて、そのうちの一人が別の一人をイジメるといった事例で、イジメた方は自分のアイデンティティというか、存在意義を損なわれたような感覚を持ったがゆえにもう一人をイジメたということですが、そういうモノが健常発達者の特徴的ないじわるコミュニケーションなんだそうです。

 

 そういう風になるのは、育ってくる過程で十分に自己肯定感を養ってこれなかったからだということなんだそうで、親に叱られ続けていたりして、自分に自信が持てない子が何か存在意義を求めたモノがあって、それを損なわれてしまうと攻撃的な行動に出てしまうということです。

 

 ただ、そういうのって、OLやママ友のマウンティングとかにフツーにあるような気がするのですが、そういうのまで精神疾患になってしまうと、日本中にマトモな人間なんてほとんどいなくなってしまうような気もするのですが…