一生モノの物理学/鎌田浩毅、米田誠

 

 

 理系的なセンスも不可欠だと、好んで著書を読み続けている佐藤優さんや出口治明さんがおっしゃるので、できる限り手に取るようにしています!(笑)

 

 この本は主に文系で物理にアレルギーがある人に対して、身近なモノの原理を物理の観点から語られた上で、巻末で社会人のための物理の学び方を紹介されています。

 

 「物理」という科目は理科学系に進む人にとっては必修みたいなので否応なく親しまざるを得ないところはあるのですが、文系の人は得てして力学で躓いたら敢えて選択しなくなることが多くて、なかなか親しみにくいモノですが、文字通り「物(モノ)」の「理(ことわり)」というだけあって、あらゆるモノに関する原理を紐解く学問だということもあって、本来我々の生活から切り離せるものではないはずだということです。

 

 そういう身近な「物理」として、ノイズキャンセリングイヤホンがなぜノイズを低減できるのかとか、リニアモーターカーはどのようにして走るのか、といったことから、そもそも我々の目はどのようにして見えているのかということに至るまで、身の回りのモノの仕組みを詳しく紹介されていて、ざっくりした仕組みから理論的な背景まで、あまり素養のない人は理論的なところはすっ飛ばしたとしても、概要が理解できるようになっています。

 

 巻末で20ページ余りで「社会人のための物理の学び方」を紹介されていて、理系以外の方が社会人になって物理を学びなおす人がいるのか!?というツッコミはさておき、「社会人」よりも現役の中学生~高校生くらいの人が物理に躓かないようにとか、物理のとどまらない効率的な学習の方法なども紹介されているので、わずかな紙幅にも関わらずギュッと凝縮された内容になっていて、ここだけでも1冊買う値打ちがあるんじゃないかと思うほどの充実感です。

 

 物理は、多くの化学が設定する「仮説」に違和感を持って躓く人が多いということなのですが、そこを切り離す思考の柔軟性みたいなモノが習得のコツだということもあって、社会人にとってもそういう方法論はビジネス的な思考をする上で重要なようで、そういう意味でも物理を見直す価値はありそうです。