理系研究者の「実験メシ」/松尾佑一

 

 

 理系の教育者として大学で教鞭をとられている研究者であり、理系小説家を自認されている方が、食にまつわるギモンを実験で解明する過程を紹介された本です。

 

 とはいっても、そんなにアカデミックなモノというワケではなく、かなりバカバカしいところもありながら、興味深いテーマを面白おかしく語られていて、フツーのド文系であるワタクシでも、読み物として十分に楽しめるモノとなっています。

 

 取り上げられているのが、日光でご飯を炊いてみようとか、自転車で攪拌してバターを作ってみようとか、ラーメンはどれくらい放っておいたら伸びるのか、といったある意味、我々ド文系でもイメージしやすい日常で見かけそうなモノではあるのですが、それを「なぜ!?」と思って実際に調べてみようとか、実際に作ってみようとかと思うのが、科学者の性とも言えそうで、そういうある意味子どもっぽい興味をそのまま実際に確かめなくてはいられないのが、ひょっとしたら理系と文系を分ける分岐点になるのかも知れないとすら思えてきます。

 

 ということで、最近は理系に進ませたいと思う親御さんが多いようですが、そういう方々は、ヘタに知識として教えたりするじゃなくて、子どもさんのギモンを徹底的に自分で確かめるように仕向ける方が、理系的な性分になるのではないでしょうか!?