パリの音楽サロン/青柳いずみこ

 

 

 18世紀半ばの「サロン」におけるショパンやサティなどの音楽家たちの活動の様子を紹介した本です。

 

 冒頭でショパンについて取り上げられていて、元々オーケストラ向けの音楽が中心だったクラシック音楽界において、オーケストラ向けの曲を書くことが不得手だったショパンのような音楽家が頭角を現すことは難しく、サロンがなければ後世に名を残すどころか、音楽家として食つなぐことすら難しかったんじゃないかということを指摘されていて、ましてやサティなどは…といったように「サロン」のクラシック音楽への多大な貢献を紹介されています。

 

 「サロン」には音楽家だけではなく、詩人や作家など様々なジャンルの芸術家が出入りしていたようで、ボードレールランボーツルゲーネフなどといったビッグネームが登場します。

 

 やはりそういう芸術家同士の交流が、音楽家とだけツルんでいるのとは異なるインスピレーションを受けることもあったでしょうし、サロンという閉鎖的な空間に合った音楽という、それまで存在しなかったタイプの音楽の発展を促したということで、音楽の多様性に大きな影響を及ぼしたといえそうです。

 

 そういうサロンを主宰していたのが、貴族だったりブルジョアのマダムが多かったということで、艶聞についてもチラッと紹介されていますが、そういうドロドロしたところも芸術の発展には不可欠の要素と言えるかも!?ということもあり、芸術の進化というのを垣間見た気がするモノでした。