世界史の中の戦国大名/鹿毛敏夫

 

 

 「世界史の中の日本史」というのが最近、日本史を学ぶ上で取りざたされるようになってきていますが、そんな中でこんな本が出版されたようなので早速飛びつきました!(笑)

 

 これは、ムリに(笑)日本史を世界史と絡めるというワケではなく、外国の文書に登場する戦国大名たちということで、室町期から鎖国に至るまでは実に旺盛に外国の文書に守護大名戦国大名たちが登場するということを紹介されていて、ある意味結構衝撃です。

 

 というのも、足利義満が始めた勘合貿易が後年半ば利権化して、あちこちに勘合札をバラまいた挙句、偽物も横行して正式に代行をしていた大内氏や大友氏だけではなく、あちこちの大名が東南アジアを中心とした各国との貿易に勤しんでいた様子が描かれます。

 

 またそれぞれの大名が「日本国王」を名乗ったりするもんだから、なかなかのカオスで室町時代の統治が結構ユル買ったんだなぁ、ということがこんなところにも表れているようです。

 

 一番のオドロキは鉄砲伝来に関するエピソードで、我々が習う日本史ではなんか偶然ポルトガル人が種子島に漂着して…みたいなイメージで紹介されているように思えますが、実は一定の考証を経た上で招聘していたというのが実態に近い様で、さして有力大名とは思えない種子島時尭もそれだけ貿易をしていたのか!?という感じです。

 

 また、天下統一が手間取った理由として、貿易権の一元化が大きな要因としてあったという指摘もなかなかの目からウロコで、豊臣秀吉が色んな意味で大暴れした後で、その後を受け取った徳川家康はそういう意味でもラクにオイシイ思いをした挙句、鎖国に至るといったことになったというのが興味深いところです。

 

 このままずっと貿易が盛んだったら…と思うと、戦国期に北九州の大名の多くがキリシタンだったことを考えると想像が膨らみますが、どんな国になったんだろう、と思わせる本でした。