我が身を守る法律知識/瀬木比呂志

 

 

 裁判官から大学教授に転身され民事訴訟法を専門とされている方が、我々フツーに生活している一般市民にふりかかりかねない訴訟リスクについて紹介された本です。

 

 頻繁に訴訟が起こるアメリカなんかと違って、多くの日本人は訴訟を他人事だと思っているフシがあって、かつかなり性善説に寄ったモノの考え方の人が多いこともある反面、法体系自体がかなり割り切った判断をしていることが多いことから、いざ訴訟となると、「こうなるんじゃないか!?」と思っているところとは違う結果になることが多いということを指摘されています。

 

 だからこそ、あらかじめこういうことが起こった時にどうなるのか!?ということを認識しておくことが重要で、かつできる限り訴訟に巻き込まれるようなリスクの高い行動を避けるように心掛けるべきだとおっしゃいます。

 

 実際にこの本で取り上げられている訴訟リスクとして、交通事故や不動産取引、離婚訴訟や相続などフツーに我々にも起こりえることが満載で、うかうかしていられないと再認識させられます。

 

 よく言われる痴漢の嫌疑をかけられたときの対応など、刑事事件では捕まえてしまったら、何が何でも有罪にしようとする傾向が強いこともあって、実際にしていないのであれば絶対に逮捕に応じないことが重要だということで、その際の避け方なども紹介されています。

 

 まあ、なんでもかんでも四角四面に対応すると、世間から浮いてしまいかねないのでバランスの問題ではありますが、あまりに法律的なセンスを欠いていると、思わぬことで足元をすくわれかねないことは意識しておくべきだということを痛感させられるものでした。