絶対悲観主義/楠木建

 

 

 2010年に出版された『ストーリーとしての競争戦略』が話題を呼んだことで知られる楠木建さんが語られる“仕事術”的な本なのですが、フツーの人向けだということで、ちょっと脱力系の匂いも感じる意外な内容のモノとなっています。

 

 あれだけの人でありながら「フツーの人」を自称されているのに違和感を感じなくもないのですが、あまり努力とかは好きじゃなく、社交的でもない(と自称されている)ので、そういう人でもウマく行くというか、フツーに仕事が終わればめっけもんみたいなスタンスの方法論を提唱されています。

 

 そういう風に、ウマく行かないこと前提で仕事をしていると、ウマく行かなくても落ち込まないし、ウマく行けばラッキーと思えるという利点もありますし、ディフェンシブな考え方をするということで、用意周到であることが自然にできるようになるということで、多くの「フツーの人」にとってかなり利点が多いようです。

 

 かつ、そういう姿勢でいることで、ミョーに仕事をするときにチカラが入り過ぎることも無く、自然体で仕事に取組めるようになることで、却ってパフォーマンスが高いレベルで安定するという側面もあるようです。

 

 この本の中で印象的だったのが、「自分のためにすることが「趣味」で、他人のためにすることが「仕事」」という金言がありますが、よく好きなことを仕事にすることのジレンマに悩む人もおられるということですが、これ位に考えて気楽に取組む方が、受益者も却って喜んでくれるのかも知れませんね!?