そっか、日本と韓国って、そういう国だったのか。/ムーギー・キム

 

 

 在日韓国人であるムーギー・キムさんが、得てして対立構図を描かれがちな韓国人と日本人のお互い誤解してしまいがちな在り様を、在日韓国人という双方を眺めてきた立場から紹介することで相互理解を促そうとした本です。

 

 よく日本人が、なぜいつまでも謝り続けなければいけないのかという不満を呈することがありますが、それって日本人は「水に流す」という文化があり、死んでしまえばそれで終わりで、むしろ死者を責めるのは「死者に鞭打つ」ということでタブー視すらされるのに対し、韓国人は何か責めるべきことがあればそれこそ墓を掘り起こしででも糾弾し続けようとするということで、そもそも根っこからメンタリティが異なるということで、そういう気質みたいなものをちゃんとアタマに置いておかないと、とてもじゃないけどお互いムカッというところから入ってしまいかねないということのようです。

 

 この本、韓国でもハングル訳で出版されるということですが、一部では韓国に対して、一部では日本に対して結構辛辣に非難されている部分があって、反省を促そうという趣旨もあるんだと思いますし、特に日本政府の補償政策みたいなところについては、ドイツが対等の立場から周辺諸国から徹底的な反省を求められたのに対し、当時の日本が朝鮮戦争~冷静突入の中で対中ソの最前線にされてしまい、韓国とともにアメリカの影響下に入ったことで、補償の側面がウヤムヤになってしまい十分な反省のないままここまで来ているという差があるようです。

 

 そういうこともあって、ムーギーさんとしては徴用工問題にしても慰安婦問題にしても、当然支配側としての圧倒的な立場からの政策で保障されてしかるべきところを頰被りして、本来成すべき補償をしていないんじゃないか!?という立場のようです。

 

 個人的には韓国との軋轢についていろんな本を読んで、かなり理解をしているつもりで、平均的な日本人と比べると韓国の対応についても理解していたつもりではあるものの、それでもなにかこの本の日本に対する言説にイラっとしたというのが正直なところで、ちょっと戸惑ってもいますが、それだけ教育や報道による刷り込みが強かったということでしょうし、韓国ではさらに強い刷り込みがあったはずなので、そういう刷り込みを超えて理解しあう難しさを却って思い起こさせたというのが皮肉な気がします。