新・日本人論

 

 

 この本は2015年に出版されたモノで、名だたる論客の方々が当時の日本を彩った「日本人」について語るというモノで、サブタイトルにあるように村上春樹さんからきゃりーぱみゅぱみゅさんまで幅広い人たちを取り上げておられます。

 

 それぞれの方が一人の方を取り上げて語るというスタイルをとられていて、個人的には今ハマっている宗教学者島田裕巳さんが秋元康さんについて語られているのに注目して手に取ってみた次第ですが、前半は秋元康さんの「ファン」としての目線について語られていて、美空ひばりさんの『川の流れのように』と小泉今日子さんの『なんてったってアイドル』の歌詞のいずれも秋元康さんが手掛けられているということに、並べてみると改めて驚きますが、島田さんはいずれも秋元さんのひばりさんやキョンキョンへのファン目線としての歌詞だということを語られていて、ナットクさせられるのですが、プロデュースされたAKB48などのアイドルグループについてもファン目線でのプロデュースをされているというところにブレなさがあるようです。

 

 しかも、AKB48の「会いに行けるアイドル」というコンセプトについて、本来偶像視することが通例で、一種宗教的なところもあるアイドルにについて「会いに行ける」というアプローチについて、親鸞浄土真宗においてなされたことになぞらえられているところが宗教学者らしいご指摘にうならされます。

 

 ついつい島田さんの「秋元康論」について語りすぎてしまいましたが、その他にもSMAP論やミスチル論、島耕作論などサブカル的にも興味深いモノが満載ですので、今なお興味深いモノだと言えそうです。