葬式は、要らない/島田裕巳

 

 

 昨日紹介した『いつまでも親がいる』で、宗教が親子関係に及ぼす影響について語られていましたが、この本では宗教と葬式の関係、もしくは日本人の葬式に対する考え方を語られています。

 

 実は諸外国に比べて、日本人が葬式にかける費用というのは突出して多いようで、桁1つ多いくらい突出しているそうで、キリスト教など礼拝だけで済ませてしまうモノを、この本が出版された2010年当時で平均的な葬儀の費用が200万円を超えていたということです。

 

 同じ仏教国でも突出しているのはなぜかということですが、元々仏教は葬式に関する考え方はなかったらしく、仏教がそれなりに浸透していたはずの6世紀後半から7世紀初頭の古墳には仏教の影響はなかったようで、葬式がハデになってきたのは平安時代の浄土信仰のブーム以降だということです。

 

 浄土信仰で、あの世に送り出すときに現世での繁栄がアチラでも続くようにと葬式がハデになったということで、その後は「家」としての虚栄心などとも結びついて、葬式におカネがかかるな状況が続いたようです。

 

 それでも核家族化や都市化の進展で「家」の意識が薄れてきたこともあって、日本での葬式も徐々に簡素化の傾向があるようで、中には葬式もせずに火葬場に直行する直葬をする人も増えてきているということで、親子関係同様、葬式も変遷を遂げているようで、個人的にはムスメたちにあんまり負担をかけないような風潮になって、よかったのかも!?という気がしています。