仏教入門/南直哉

 

 

 曹洞宗の僧侶の方が紹介される仏教の入門書です。

 

 宗教の入門書というと、その宗教の外形的な知識を紹介するモノが多いんじゃないかと思うのですが、この本はどちらかというと仏教の修行への入門といったような趣きの本です。

 

 そんな中でもこの本では、かなりブッダが説いたとされる原始仏教にあたる上座部仏教で提唱される解脱や悟りを目指す修行に主眼を置かれた内容となっています。

 

 ただ、悟りや涅槃と言ったモノがどういうモノなのかというと、それはあくまでもそういう境地に達した方の主観的なモノであり、ブッダ自身もそれがどういうモノなのかについて積極的に語られていないこともあって、教義のキモとなる部分がブラックボックスになっているという側面もあって、なかなかどういうモノなのかを説明することは難しいということです。

 

 そういう曖昧な部分はあるモノの、これまで多くの人に救いをもたらしてきたことは事実であり、この本でも実践編として出家の在り方や、座禅の方法なども紹介されていて、これを見たからと言ってそのまま実践するのはハードルが高いとは思うのですが、ある意味仏教的な「在り方」を啓蒙するような位置づけができる本なのかも知れません。