いつまでも親がいる/島田裕巳

 

 

 宗教学者島田裕巳さんが親子関係を宗教の影響という観点から語られた本です。

 

 欧米ではかなり早いうちに親から「独立」することで知られますが、元々生まれたばかりでも一人でも寝かせたりするように、小さい頃から子ども「個」として扱うのは、キリスト教国が親であっても子であっても、それぞれが神と直接つながっているという感覚があり、過度に子どもを支配しようとすることはないということがあるようです。

 

 ただ、同様に神との直接のつながりを重視するイスラム教においては、開祖のムハンマドが既婚だったこともあり、キリスト教と比べると親子関係についてのクルアーンでの言及など、それなりのつながりを志向するようです。

 

 また仏教では開祖である釈迦が妻子を「捨てて」、解脱をしたということもあって親子関係を重視するということはないようで、日本においてここまで親子関係が濃密なことがちょっと不思議な気はします。

 

 それについて日本では親子関係については儒教の影響が大きいということで、「忠孝」の概念が日本における親子関係の濃密さの元となっている側面が大きいようです。

 

 ただ核家族化~未婚率の上昇などでそういう濃密な親子関係は薄れつつあり、日本人の精神世界もかなり変わってきているということなんでしょうね…