世界史が苦手な娘に宗教史を教えたら東大に合格した/島田裕巳

 

 

 最近何気にどハマりしている宗教学者島田裕巳さんが宗教史について語られた本です。

 

 お嬢さんが受験の際に、世界史が苦手だった(実は、島田さんご自身も!?)ということで、宗教史の手ほどきをされて無事島田さんの母校でもある東大に合格されたということなのですが、世界史というのは如何に宗教に関する知識が重要なのか!?ということを改めて痛感させられる内容で、ワタクシ自身があまり世界史に通暁していないということもあるのかもしれませんが、ほぼほぼフツーに世界史のハナシを読んでいるのと変わらないような気がしました。

 

 特に、昨日紹介した『世界でいちばんやさしい教養の教科書[人文・社会の教養]』の歴史のパートでも触れられていましたが、市民革命以前は時の権力がその源泉を宗教に求めていたということもあって、「宗教を語ること≒世界史」となってしまうのは自然なことなのかもしれません。

 

 ただ、その「公式」が成り立つのは一神教であるキリスト教イスラム教文化圏であることが多いということで、多神教である道教や仏教、ヒンズー教文化圏である中国やインドではなかなか「公式」が成り立ちにくく、特に中国では「儒教が宗教なのか!?」という議論もありますが、そうでないとすればかなり歴史における宗教色が薄いようです。

 

 日本でも宗教色は薄いモノの、天皇制が西欧における宗教の権威のような役割を果たしているというご指摘は非常に興味深く、「国家神道」という考え方は実はかなり昔から日本人の中で浸透していた考え方だったのかもしれない、と感じました。

 

 ということで、やはり宗教というのは人々の営みと切手は話せないものであるだけに、宗教史を学ぶことが一粒で二度おいしい、ということになるのかもしれません。