「日本人の神」入門/島田裕巳

 

 

 先日紹介した『靖国神社』でも日本の神道に関する外形的な沿革の紹介がありましたが、「入門編」があると知って手に取ってみました。

 

 多神教ということで、一神教であるキリスト教イスラム教の差異ということもあるんでしょうけど、現存した人を「神」としてあがめるといったことが『靖国神社』でも触れられていましたが、原始宗教としての特徴を備えつつも、現代に至るまで大きな影響力を保っているということで、その秘訣ともいえる成り立ちについて紹介されています。

 

 まずは日本の神様の中で一番大きな影響力を持つと思われる天照大御神と八幡様について紹介されています。

 

 天照大御神については天皇家とのつながりも語られるワケですが、必ずしも継続的に敬意を払われてきたワケではなさそうで、祀られているのが伊勢神宮という歴代の都から離れたところであるというのは、度々大きな災いをもたらしてきたことから、畏怖されながらも敬して遠ざけられているという側面があるということです。

 

 また、八幡様については武士の興隆の大きな関係があるということで、そういう権力者の推移とともに神道の主流の移り変わりがあったということで、さらには僧形八幡といった人々に受け入れやすい「カタチ」をとってきたことも、脈々と信仰を受け続けていることの秘訣なのかもしれません。

 

 日本人は「無宗教」という人が多いですが、日々の生活の中で神道の影響は否定しがたいところで、それくらいの自然さというのも、信仰が永らえている所以なのかもしれません。