図解で分かる14歳から知る日本人の宗教と文化/山折哲雄監修

 

 

 先日紹介した『図解で分かる14歳から学ぶこれからの観光』のシリーズにこんな本があると知って、手に取ってみました。

 

 多くの日本人が自分は無宗教だという自覚をしているようですが、宗教学者島田裕巳さんが再三、日本人の無意識の宗教観を強調されていますが、そういう日本人の宗教観をもたらすモノについて分析されています。

 

 この本によると日本人の精神世界は、自然との共生を図る深層心理としての縄文的世界観、周囲との共同生活を行う上での弥生的人間観、より大きな範囲で社会生活を行う上での社会的合理的価値観で構成されているということで、それぞれアニミズム的な精霊信仰、シャーマニズム的な神道、より洗練された仏教以降の各種宗教と結びつくということで、日本人の宗教観はその三層が統合されたモノで不可分なモノとして構成されているということです。

 

 他の宗教関連の書籍とは異なり、この本ではかなりの紙幅を深層に位置する縄文的世界観と結びつく精霊信仰に割かれていて、日本人の精神世界や宗教観を知る上で重要なベースとなることを示唆されています。

 

 昨今のSDGs的な思考というのは、実はこういう日本人の深層にある自然信仰と相性がいいということもあると思われ、若い世代にそういう深層的な精神世界を理解してもらうことで、より深いルーツの認識につなげることを志向されているのかもしれません。