『負け犬の遠吠え』で知られる酒井順子さんが書かれたインバウンド客に向けた日本の観光ガイドです。（日本語ですが…）
酒井さんと言えば『負け犬の遠吠え』を始めとするジェンダー論はモチロン、「鉄子」の草分けとして『女子と鉄道』など「乗り鉄」としての著書も出版されていますが、この本は旅関連の著作の一環と言えるかもしれません。
コロナ禍直前の2019年には約3,200万人の訪日外国人観光客を迎えるインバウンド大国となった日本（それ以外の産業のプレゼンスはダダ下がりですが…）ですが、この本が出版された2010年は、2003年に開始された『ビジット・ジャパン』キャンペーンの効果もむなしく、2010年までに年間1000万人の訪日外国人観光客数を目指したもモノの、目標の7割にも満たない約680万人だったということで、酒井さんが人肌脱ごうということだったのかも知れません。
とはいうモノの、シャレっ気に満ちた酒井さんだけに単なる日本紹介にとどまらず、一見マジメなトーンで淡々と語っているように見えるモノの、温泉街などでは不可欠な下ネタもさりげなく織り交ぜたり、外国人から見ると日本人のミョーな風習を取り上げたりと、日本人である我々が読んでも（むしろ日本人だからこそ!?）かなり楽しめるものになっています。
今となっては、日本人の秘めたる風俗を除けば、多くの訪日外国人観光客の知るところになっているであろう秘訣ですが、それでもなお日本を訪れてくれる方々を、通訳ガイドの端くれとしては、しっかりもてなしたいモノです…（笑）
