未来ノート/佐藤由美子

 

 

 心理コンサルタントの方が、人生に閉塞感を感じている二人の中年女性が、タコの絵のノートに自身の素直な想いを書くことで再生していく様子をストーリー仕立てで紹介した本です。

 

 二人の主人公は実際に診られた方をモデルにされているようで、お一人が厳格な教師の母親に育てられて、学生時代に一時俳優を志したものの母親の説得で思いとどまり、母親と同じ教師をされている方で、もう一人はイラストレーターを志したものの、挫折し派遣労働をされている方です。

 

 教師の方は厳格な母親に育てられたこともあって、「べき論」で理論武装したようなところがあって、「鎧」を着て教師を「演じて」いるようなところがあり、自分の娘にも知らず知らずの間に考えを押し付けてしまっていたようなところがあったようで、ある日娘が不登校になったとともに、教師をしている学校でも不登校の生徒がでてしまい、行き詰まって「タコのノート」に出会ったということです。

 

 派遣の方は、当初勤めた会社の社長の導きでイラストレーターを志したものの、自分には才能がないと決めつけてしまって、その後は派遣労働をすることになるのですが、その後、派遣先で母子家庭の少年と出会うのと同時期に「タコのノート」に出会ったということです。

 

 お二方とも「タコのノート」に「自分を認めなさい」と書かれていて、そのノートには素直な自分の想いを書きなさいという導きに従って、徐々に「鎧」や「才能がない」という決めつけを取っ払っていき、次第に本来の自分を取り戻して、自由を感じていくワケですが、他人からどう見られるか、とか自分で自分を縛るといったことが、如何に不幸なことで、周囲にまで毒をまき散らすことにもなりかねないということが示唆されていて、やはり本当の意味でシアワセになりたければ、自分のあるがままの姿というモノを意識して、それに近づくようにすることが重要なんだということを再認識させてくれます。

 

 特に日本人は同調圧力がキツい社会にいることもあって、そういう虚栄心みたいなモノに支配されがちですが、もっと自分勝手に生きていっていいんじゃない!?と言われているような気がします。