検査なんか嫌いだ/鎌田實

 

 

 終末期医療で知られる諏訪中央病院の元院長である鎌田センセイの医者にあるまじきタイトルの本ですが、昨日に引き続き検診にまつわる本です。

 

 『80の壁』の和田センセイや「ガンもどき」でガンの保存療法を提唱していた近藤センセイを始め、医療関係者の中にも人間ドックなどの健診、さらにそこで引っかかった人向けの検診には否定的な意見を述べる人が少なくないですが、鎌田センセイはその中間的な立ち位置から、もうちょっと否定的な立場に寄ったお考えをお持ちのようにうかがえます。

 

 昨日紹介した『人間ドックの作法』でも検査項目は玉石混交で、著者の森先生は健診受診の推進派だと見受けられますが、それでも人間ドックの検査項目の中にはあまり意味のない検査項目があるということらしく、さらに鎌田センセイに言わせると、もうちょっと有効だとされている範囲は狭まるようです。

 

 最低限、血圧と体重を日頃から図っておいて、あまり良くない方向に振れたときに、食事なり運動なりで改善を図るというのが最低限のスタンスであるようすが、一応、嫌いなりに一定の有用性は見出しておられるようで、人間ドックなどの健診、さらにそれで引っかかった後の検診について、どういう数値などの結果を以って、どういう対処をすべきかについて紹介されています。

 

 やっぱり鎌田センセイはお医者さんなんで、ただ嫌いというワケにもいかないようで、同類の人々にとって、危ない症状が出ていようがイヤなものやイヤなんだ!と開き直る人は別として、イヤだけどそれなりに健康面は気になるという人にとって、最低線を探る上で参考になるのではないかと思えます。