図解で分かる14歳から学ぶこれからの観光/一般社団法人社会応援ネットワーク

 

 

 中高生位の世代をターゲットにする本って、社会的な要請が背景になっていることが多いので、「観光」をテーマにしたこういう書籍が出版されたのに戸惑いつつ、いいことではあるので、どんなものか気になって手に取ってみました。

 

 当初は、最早日本が売り物に出来るものは、日本そのもの≒日本に来てもらうことしかないから、デービッド・アトキンソンの『新・観光立国論』じゃないですが、その世代からインバウンド対応を刷り込んでおくのかと邪推しました(あながち邪推でもない!?)が、一応世界的に観光を振興すること自体が国連が提唱するSDGsに含まれていて、しかも観光を促すということは平和の維持にもつながるということがあって、そういう意味ではインバウンド客を受け入れるというだけでなく、その世代が海外を訪れることに興味を抱くことが、平和教育の一環とも捉えられているようです。

 

 そういう意義はともかく、大半の内容はインバウンド客の受入れということで、通訳案内士でもあるワタクシのホームグラウンドということなのですが、かなりバランスよくインバウンド客受入れについて網羅されており、通訳案内士試験の一科目である「通訳案内の実務」のテキストにもなるんじゃないかと思うくらいです。

 

 インバウンド客がどういうモノを喜んでくれるのかということを考えることは、迎えるお客さんの文化的なバックグラウンドを知ることにもなるでしょうし、そういう理解が相互理解になるということもあるので、単におカネ儲けの手段としてではなく、是非是非この世代にも興味を持ってもらいたいモノです。